介護施設で働く介護職員は社会的なニーズが高い反面、現場には様々な問題点が介在しているのも事実である。これらの問題点は職場環境の問題、働く人の人生設計の問題、そして介護の仕事そのものの複雑さに大別することができる。介護職員への転職をする上ではこれらを理解する必要があるだろう。
まず、介護の職場環境は一般的には力仕事も多く夜勤の仕事もあり体力的にきつい仕事である。また認知症の高齢者を相手にして暴力をふるわれる可能性もあり、ある種の危険を伴っているとも言える。これは、スタッフの数を増やしてシフトを緩やかにすることである程度解決することができる。
次に、介護の現場で働く人の多くが20代から30代といった若い世代が多く、比較的女性が多い職場という点が重要である。日本では依然として女性が結婚後も同じように仕事を続けるというケースは少なく、夜勤であったり危険を伴うような仕事に関する男性の理解が乏しい。このことから途中で仕事を辞めざるを得なくなる人が出て、余計に残された人の仕事が増えるという悪循環に陥ることもある。この問題の解決のために、政府の政策として産後の女性の復職を促そうという動きがある。また、なるべく女性が夜勤に入らなくても済むようなシフト変更など個々の職場での工夫もなされているのだ。
最後に、介護という仕事には「こうしたらいい」という明確な答えがない場面が多い点だ。明確な答えがないのでスタッフ間でも介助の仕方がバラバラであったりなど、意見が合わないケースがあるのも事実である。この問題についてはスタッフ間で綿密なコミュニケーションをとることが通常の職場よりも求められるのだ。